「一人ひとりの賜物を生かす」ことを目指す清教学園の授業がどのように行われているのか、その一端を紹介いたします。自然豊かな通学路「しらかしの径(みち)」の先にある<学びのフィールド>で日々繰り広げられる真剣授業には、生徒たち一人ひとりが成長の糧を手にするためのエッセンスがいっぱい詰まっています。



「聖書」の授業は「自分の生き方」及び「社会との関わり」等について「考える」ことのできる唯一の科目・時間である。
  他教科のように筆者や登場人物の考え・心情を考える授業はあっても、生徒本人の考えを問う、あるいは「自分自身について考える作業」自体が少ない現代の教育課程にあって、聖書科では前述のように考えています。中学では聖書・キリスト教の基礎的知識を中心にしつつ、さまざまなことを考え、中3の3学期における『後輩たちに伝えたいこと』のように、自分の言葉で表現できるような授業展開を目指します。高校では「キリスト教概論」の枠で、よりさまざまな題材を基にし、授業毎のコメント書きやディベートなどを通じて、さまざまな角度から「考える」作業を進めています。
  最終的には「人間学」、「人間として考えるべき課題の学習を展開」できるような、そして真の意味で清教を代表する科目になることができればと思います。

     ◇1週間あたりの授業時間数 中学:1時間、高校:1時間





  グローバル化が進む社会において英語教育の果たす役割も変化しつつあります。本学園においても時代の要請に応えるべく、さまざまな授業の取り組みがなされています。
  中学校では、英語の授業は実技科目と捉え、徹底的に音読トレーニングをし、<使える英語>を身につけていきます。楽譜を見ているだけでは、ピアノは弾けるようになりません。野球中継を見ているだけでは、野球はうまくなりません。実際にピアノやバットとボールを使っての練習が必要です。英語も同じです。授業中も自宅学習でも英語を何度も音読して、身体にしみこませることを学習のポイントとしています。
  高校では「聞く・話す・読む・書く」の基礎力をつけながら、段階的に大学受験にも対応できる力を養います。特に1年次においては基本的文法事項と語彙のマスターを要求しています。また徹底的な音読を通して基本的英文を習得し、2年次以降の発展的な英作文や長文読解の学習につながるよう、授業の創意工夫を心がけています。生徒たちが、関心を広げ、さまざまな英語に触れ、幅広い教養を身につけることも大切な要素と考えています。

     ◇1週間あたりの授業時間数
               中学:6時間、高1:6時間、高2(理文とも):6時間、高3(理系):7時間、高3(文系):8〜12時間






  中学では代数と幾何を学びます。Ⅰ類では自律的学習力、Ⅱ類では発展的学習力の向上を目指し、全学年で月曜日の早朝に基礎力テスト(モーニングテスト)を、中3では基礎力の定着と応用力の向上を目的に定期補講を行っています。特に大切にしているのは、このようにして身につけた知識を発展させ、『考える』ということです。この考える力を高校数学へと繋げられればと、日々学習に励んでいます。
  高校では、さらに論理的に訴える能力や抽象的なものの見方が要求されます。結論に到るまでの筋道を正しく的確に述べられるかどうかも重要です。たとえば方程式について考えるとき、解そのものを求めるのではなく、解が存在するかどうか、存在するなら幾つあるか、あるいは、解はどのような範囲にあるのかなど、このような見方をする機会も多くなります。また、新しい記号や概念が次々に出てくるので、それらに慣れることも大事です。
  小・中学校では授業の中で大抵のことを片付け切れた人でも、高校では簡単に片付かないことが格段に多くなり、勉強はすればするほど疑問が出てくるものです。それを克服するには、必ず学習時間を確保して自学自習を習慣化し、ひとつひとつ自分の手で最後まで遣り遂げることが第一です。授業の主役は君たちです。説明を聞いて板書事項を書き写すだけの授業スタイルでは学力の向上は望めません。週に一度ですが各学年において終礼テストの機会を設けていますし、加えて高2・高3では定期補講も行っていますので、学習のきっかけのひとつとして真剣に取り組みましょう。

     ◇1週間あたりの授業時間数
               中学:6時間、高1:6時間、高2(理文とも):7時間、高3(理系):9時間、高3(文系):0〜4時間






  中学の体育授業では、集団行動において協力することの大切さを身につけることを3年間を通しての目的の1つとしています。中1では基礎体力の向上を目指し、中2ではより発展的な実技内容へと授業を進めていきます。最高学年の中3になれば、身体能力も充分に高まっているため、実践形式を中心にした授業ができるようになります。体育を通して、協調性を育み、助け合いのすばらしさや汗をかくことの楽しさを学んでもらうようにも心がけています。運動が得意か不得意かということに関わらず、明るく楽しい授業を目指しています。
  また高校の体育授業では、まず集団行動を身につけること、その次には、体育実技が得意な生徒・不得意な生徒同士が認め合い協調性を持つこと、そしてリーダーシップが取れる生徒を育てることを目標としています。男子は、高1年次にはできるだけ少人数で授業が出きるようにクラス編成を工夫し、集団行動から始め、柔道は1年間を通じて習得していきます。高2年次では、球技種目を中心に団体競技でグループ作りを学び、器械体操などで個人技もしっかり学びます。高3年次は2年間のまとめとして、ゲームを中心に球技種目を実施し、リーダーとして創作レクリエーションを考え、自分達が授業を進めていきます。いっぽう女子は、高1年次では男子同様に集団行動から始め、球技・リズムダンスを導入にしながら、創作ダンスを習得していきます。高2年次は、学校行事の一つとして大きなイベントである創作ダンス発表会を中学3年生と共に開催しています。マット運動にも創作を取り入れ、個人の能力の高さが伺えます。高3年次では、バスケットボールの教材から、リーダー指導の授業を行い、人の前に立ち、いろいろなことを経験していきます。男女共に、高校での体育授業が将来的にいつまでも身体を動かしたいと思う一つのきっかけになってくれることを望んでいます。そして保健授業は、高1年次・高2年次の2年間で、身近な健康問題から社会問題までを含めて、男女が一緒に学ぶ場を作っています。

     ◇1週間あたりの授業時間数  中学:3時間、高校:3時間





  生徒たちに分かりやすいと感じてもらえる授業をもっとしたい ― そうした思いから、本校では、生徒たちの思考力の形成過程を考慮した上、中学の普通教室すべてに電子黒板(IWB)を導入しました。他校に劣らぬ質の高いICT活用の授業実績を持つ本校では、今回さらにIWBを導入したことで、これまで以上に生徒たちの集中力や授業への参加意識を高める効果を生み出すことができています。
  教室を覗いてみましょう。最後列からでも十分に見える95インチの大型ボードには、重要な文章箇所(国語・英語)、きれいで見やすく、かつ動きもつけられる図形(数学・理科)、瞬時にクローズアップもできる地図(社会)などがテンポよく提示され、プロジェクタのみを使う授業に比べ、生徒たちの顔がよりしっかりと前を向き、その視線は教員の手にする電子ペンの先に集中しています。たとえば数学の授業では、応用性の高い等積変形という項目を学ぶ際、IWBならば平行線上のすべての箇所に点を動かしての図形変形が可能であるということから、生徒たちはボード上に展開される図形の動きを凝視しイメージを蓄えながら、内容の本質をしっかり理解していっています。
  また、書き込みが自由で、加えて板面を保存し適宜利用できるIWBの特性を生かすことで、生徒たちの理解の度合いに応じて説明の補足をしたり、学習内容の振り返りも行えます。備え付けの書画カメラも使えば、演習課題等を写しだし、その場での添削指導や生徒同士での討論という機会を作ることもできて、生徒たちの主体的な授業参加がますます実現されています。
  IWBの導入に見られるように、清教学園には、これまでの教育成果を生かしつつ、より効果的な新しい教育シーンを創造しようとする空気がつねに溢れています。

◆電子黒板(IWB)を導入して半年後に行った生徒へのアンケート結果(2011年3月実施、対象:中2・3生全員)
※A「よく当てはまる」・B「やや当てはまる」・C「あまり当てはまらない」・D「全く当てはまらない」のうち、AまたはBの回答をした生徒の割合
アンケート項目
回 答
IWBや書画カメラを使うことで授業がいっそう分かりやすくなった
88.4
授業で使われる資料などがこれまで以上に理解しやすくなった
88.9
黒板のときよりいっそう効果的な授業が行われていると思う
82.7
黒板のときより字などが見やすくなったと感じる
68.3
IWB等の設置前より授業の理解が深まり興味関心が高まった
81.7

  授業の「分かりやすさ」については生徒たちから概ね高い評価を得ています。字などの見やすさにも配慮しながら工夫を重ねることで、今後も大きな授業効果が期待できると考えています。





  中学の国語の授業は、「国語」と「国語演習」の二つに分けて行なっています。「国語演習」、特に1・2年のそれは清教学園独自のものです。できるかぎり多くの文章を読んで、その都度に自分の感想や考えをノート(200字帳)にまとめていきます。2年間この授業を前向きに取り組むと、文章表現力だけでなく、考える力も自然と身についてきます。自分の思考するところを抵抗なく文章化できる力は、将来さまざまな形で役立つことでしょう。
  高校では、国語の中で「古典」のウエイトが大きくなります。高1の「現代文」は週に2時間ですが、「古典」は3時間あります。しかし、だからと言って「現代文」の重要度が低いということでは決してありません。「現代文」は、文章の読解力を養うのはもちろんですが、各分野の専門的な人々の先端に近い考え方を学び、人間や社会に対する自分の考えを築いていく授業です。あなたの人格形成に大きく影響する授業です。
  他人の意見に耳を傾けることも、自分の意見をしっかり持つことも、またそれを発表することも、私たちにとって大切なことです。そういった態度や能力を身につけるのも国語の勉強です。

     ◇1週間あたりの授業時間数
         中1~2:5時間、中3:6時間、高1:5時間、高2(理系):5時間、高2(文系):7時間、高3(理系):4時間、高3(文系):6~8時間


      写 真 (上段): 中1国語演習「200字帳」
             読んだ文章の感想文を書く。
             一次感想文 ⇒ 添削・クラス討論 ⇒ 二次感想文の流れで、しっかりと自分の考えをまとめ、表現できるようになります。 





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